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しろうとせいとうほんがまをきずくべからず

素人製陶本窯を築くべからず

北大路 魯山人

――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,919 字 · 25 页

青空文庫

前山翁が最初仁清ふうを作らんとされた時も、京都のKという陶家をひっぱってきて、これに望みの夢をかけられたらしいのである。美校の画学生を聘して仁清ふうの絵付けをさせてみたりされるあたりは聡明そのもののような、前山翁の所作としては合点のいかな過ぎる常識なのだ。しかも、その期待に破れた後は瀬戸系陶器に心を移して志野、黄瀬戸、織部といった、しぶ好みなるものの成就を欲し、一挙気構えをそれに傾倒されたようである。が、惜しいことにこれとて深い用意および周到綿密な調査の行き届くものがあっての企図ではなかった。最初仁清に理解なき陶家を連れ来って、仁清を作らんとした誤った行為から一歩も前進のない進みをもって瀬戸系試作に臨まれたのであった。このこと、私の見聞に誤りなしとするならば、こととしだいもあろうに一種の札付で有名なAという名古屋出の道具屋に瀬戸陶工の身軽者を世話せよと迫られたことである。そこで最初に選び出されたBなる陶人は小さな奉公は出来ないと諾するところがなかったが、次のKなる陶人は身も心も軽く前山邸に轆轤を運んだ。それからというもの、この陶人と前山翁の角力は勝負ありともまたなしともつかず、両人相対していろいろ複雑な辛抱の日が相互今につづいているあり様だ。