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きぬとかみのはなしとしていのあいだがらのはなし
絹と紙の話と師弟の間柄の話
上村 松園
「塔影」1933(昭和8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,245 字 · 7 页
今日のようなスピード時代から見ますと、今の紙本に走り書きした妙味が喜ばれそうなものですのに、紙本の味などよりは絹の上にコテコテと丹念に描いた絵の方が喜ばれている傾きがあるのは不思議でもあります。が又、いくらスピード時代だからと言っても、絵ばかりは駆け出しの若い人にはどうしても紙本などこなす腕が出来ませぬ。じっくりと叩き込んだ腕でないと筆が軽く自由に動いてくれませぬ。
考えてみますと近頃の若い画家は皆あまり早く効果を挙げようと結果を急ぎ過ぎているように思います。絵を稽古するのは上手になるためでなくて名を挙げるためだという風に見え過ぎます。毎年のことですが帝展前になりますと草稿を持って何人も何人もの先生の処に見て貰って廻わる若い人の話を聞きますが、これなどそっくりそのまま現代式な焦燥な心をあらわしてると思います。それが立派な先生の主宰する塾に弟子入りしてる人でそうなのです。師匠と頼んで弟子入りして置きながらそうした振舞いをするということは、いわば師匠をないがしろにしたことにもなるわけです。
一体今日の師弟の関係からしてあまりに功利的に過ぎるというものです。