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みどりいろのとけい

緑色の時計

小川 未明

「幼年ブック」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,276 字 · 7 页

青空文庫

あとで、このことをねえさんに話すと、

「そんなこと、あてにしないほうがいいわ。」と、ねえさんは答えて、せっかくのぼくのよろこびをうちけしました。

「じゃ、うそだというの。」と、ぼくは、ねえさんにせまりました。

「だって、あの人のいうことは、いつもゆめのような話じゃないの。」

そういわれれば、そんなような気もするけれど、ぼくは、おじさんの話には、いつもひきつけられるのでした。

「正ちゃんは、うそをつくような人でもすき?」と、ねえさんが、聞きました。

「ぼく、うそをつくような人は、大きらいだよ。」

ほんとうをいえば、ねえさんも、ぼくも、真におじさんが、まだわからなかったのでした。

春風の吹く、あたたかな晩がたでした。弟は、S町の露店へ、いっしょにいってくれというのでした。二人は、電車に乗って、でかけることになりました。駅の近くの花屋では、花の咲いている、ヒヤシンスの鉢が、ならべてありました。

弟は、電車の窓から、外をのぞいて、

「にいちゃん、いなかのようなところを、通るんだね。」といいました。ぼくは、つりにいくとき、よくこのあたりを歩いたけれど、弟は、いままで、こちらへきたことはなかったのです。