轻松读懂日语经典作品
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わなにかかったひと
罠に掛った人
甲賀 三郎
「探偵」駿南社、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,112 字 · 21 页
玉島を殺すにも及ばぬ。これを一転機として、運が開けて来るかも知れぬ。五百円落すような迂闊な人間は、これが無いからと云って、さして困りもしまい。
借りよう。友木はとうとうそう決めて終った。
彼は四辺が急に明るくなったように感じた。希望が、涸れかかった彼の胸から湧き出して来た。
彼はふと妻の事を思い出した。
真暗な家に帰りついて、彼のいないのを発見した彼女は、どうしているだろうか。それとも彼女は未だ町をうろつき廻っているのだろうか。
早く、早く、吉報を知らしてやらなくてはならない。
友木は胸をわくわくさせながら家の方に駆け出した。
三
家は真暗だった。
友木は手探りで室の中に這入って、声を掛けて見たが、妻は帰っていなかった。
彼は家を出て、近所の荒物やで蝋燭を二本買った。ビクビクしながら、懐中から拾った金のうちの十円紙幣を一枚抜き出して渡したが、店の者は別に怪しみもせず剰金を呉れた。それから彼は食糧品店に行った。彼は軟かい食パンとバタとハムの鑵を買った。それから果物屋で真赤に熟した林檎を買った。彼は喉をグビグビ云わせながら家へ帰った。
太い真白な西洋蝋燭は久し振りで快よい照明を与えた。