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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

山本周五郎『美少女一番乗り』。同一底本的分册已合并为一书。收入:美少女一番乗り、和蘭人形、蒲生鶴千代、歔欷く仁王像、戦国会津唄、半化け又平、身代り金之助。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 页

青空文庫

「余もこの度は本復覚束なしと思う、それについて家督相続の事を、ただ今これに遺言として認めさせた、――一同これに署名のうえ、違背せぬという血判を押せ」

「…………」

「伯父上の仰せながら」

頼母が面をあげていった。

「御遺言の次第を読み聞かせて頂けませぬか」

「ならぬ、ならぬ!」

頼宗はきっぱりとはねつけた。

「余が死んだら開封せい、それまでは何者たりとも見てはならぬ、――数馬、一同に血判させい」

「ははっ」

数馬は密封した御遺言書を受取って、家老相良外記はじめ列座の人々に、署名血判させて廻った。――それが済むと頼宗は、

「この遺言は、板倉内膳殿に預けて置く、余が死んだら内膳殿立会いのうえ開封するがよい、繰返して申すが何者たりとも違背する事は相成らんぞ、――数馬」

「ははっ」

「その方これを持って、直ぐ板倉殿へ参れ、注意して行けよ」

「承知仕りました」

数馬は辷るように御前を退った。

家督相続についての遺言、――それはいま金森家の重大な問題だった。頼宗には満里子という十五歳になる姫があるだけで、世継ぎとすべき男子がなかった。それで重臣たちは、分家である麻布の金森頼母の子、大三郎を養子にしようという案を立てていた。