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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
山本周五郎『美少女一番乗り』。同一底本的分册已合并为一书。收入:美少女一番乗り、和蘭人形、蒲生鶴千代、歔欷く仁王像、戦国会津唄、半化け又平、身代り金之助。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 页
二
まるで召使いを扱うようだった、熊もまた言われるままになっている。少女は手負いの体を熊の背へ負わせると、自分は側から介添えをしながら森の中へと下りて行った。
二
人里を遠くはなれた飛騨の山中、摩耶谷の奥には、建武の時代から連綿と伝わる郷士の一族が棲んでいた。
伝説によると、後醍醐天皇の勅勘を蒙ってこの山間へ流罪になった殿上人の裔だという事で、北畠賀茂という家を中心に十八軒の家が、全く世間とは交わりを絶って生活している。代々どんな領主にも貢をせず、一族独立の面目を誇って来たが、飛騨の国高山の城主、姉小路自綱は、その由緒ある家柄を重んじて永年保護を加えていた。
しかしこうした僻遠の山中へも、時勢の波は伝わらずにいない。殊に永禄、元亀、天正と戦乱うち続く時代の事とて、諸国に割拠する群雄の栄枯盛衰、十五代二百余年の足利氏が滅亡して、尾張の小冠者信長が天下を取ったとか、さきの公方義昭はなお、上杉、武田、相模の北条氏などに縋って天下回復の計をめぐらしているとか、勇ましい噂が伝わって来るにしたがって、一団の若者たちの中には、
――生涯こんな山奥に朽ちているより、世間へ乗出して一代の英雄になりたい。