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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

山本周五郎『美少女一番乗り』。同一底本的分册已合并为一书。收入:美少女一番乗り、和蘭人形、蒲生鶴千代、歔欷く仁王像、戦国会津唄、半化け又平、身代り金之助。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 页

青空文庫

しかし頼宗は頼母が本家四万五千石の家を狙って、以前から善からぬ事を企んでいる事を知っていたので、大三郎を養子にする事は絶対に反対していたのである。

――この御遺言書こそ大切だぞ。

高村数馬は深く心に期する事があったとみえて、御前を退るとそのまま、邸内にある自分のお小屋へ立寄った。

「おや、お退りか」

母は出迎えながら、

「お上の御容態はどうあるぞ」

「それは立戻ってから申し上げます、千草はもう御殿へあがりましたか」

「いま奥で支度をしていますよ」

数馬は走るように奥へ入った。

妹の千草は十五歳、三年まえから満里子姫のお相手として、ほとんどお側去らずのお気に入りだった。――部屋へ入ってみると、いま御殿へあがる支度をしているところだ。

「千草、話がある、坐れ」

「忙しいこと、いま帯を締めますわ」

「そのままでいいから坐れ」

兄の様子がいつもと違っている、千草はにわかに胸騒ぎを感じながら、いわれるままに坐った。――数馬は母に聞かれぬように声をひそめて、

「殿にはいよいよ御重症だ、したがって前からいってある通り、満里姫様のお身の上もここが大事な時となった、それについて話がある……もっと進め」