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びだんしとたばこ
美男子と煙草
「日本小説」1948(昭和23)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,526 字 · 9 页
人間は、いや、いまの人間は、どん底に落ちても、丸裸になっても、煙草を吸わなければならぬように出来ているのだろうね。ひとごとじゃない。どうも、僕にもそんな気持が思い当らぬこともない。いよいよこれは、僕の地下道行きは実現性の色を増して来たようだわい。」
上野公園前の広場に出ました。さっきの四名の少年が冬の真昼の陽射を浴びて、それこそ嬉々として遊びたわむれていました。私は自然に、その少年たちの方にふらふら近寄ってしまいました。
「そのまま、そのまま。」
ひとりの記者がカメラを私たちの方に向けて叫び、パチリと写真をうつしました。
「こんどは、笑って!」
その記者が、レンズを覗きながら、またそう叫び、少年のひとりは、私の顔を見て、
「顔を見合せると、つい笑ってしまうものだなあ。」
と言って笑い、私もつられて笑いました。
天使が空を舞い、神の思召により、翼が消え失せ、落下傘のように世界中の処々方々に舞い降りるのです。私は北国の雪の上に舞い降り、君は南国の蜜柑畑に舞い降り、そうして、この少年たちは上野公園に舞い降りた、ただそれだけの違いなのだ、これからどんどん生長しても、少年たちよ、容貌には必ず無関心に、煙草を吸わず、お酒もおまつり以外には飲まず、そうして、内気でちょっとおしゃれな娘さんに気永に惚れなさい。