轻松读懂日语经典作品
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
「いまのところ、あなたは自殺干与容疑の段階にいるんですが、父の死体が揚らないかぎり、逮捕することも身柄を拘束することもできないけれども、こんなものが見つかると、あなたはすぐ留置されます。容疑者の自殺は証拠湮滅の企図があるのだと解釈されるのです……あなたにしたって、なさりたいことがあるのでしょうから、自由をなくするのはお困りだろうと思って」
なにもかも、ひどい間違いだ。弁解する気にもなれないほどバカらしいと思うのだが、筋のとおらない論理に屈服することは、自尊心にかけても、我慢がならなかった。
「あたしの身柄はあたしで始末します。あたしの質問したことに答えてくださればいいのよ」
「どういうことですか」
「そこまでの親切があるなら、そっと隠しておいてくれればすむことでしょう。あたしに返すのは、どういうわけなの?」
「あなたは溺れかける父を見捨てて、泳ぎ帰ってきたひとでしょう?」
「それは反語ですか……たとえ、そうだとしても、あたしが自殺しないといえるかしら? いろいろと言いまわしているけど、あたしには反対の意味に聞えるのよ……睡眠剤を致死量だけ飲んで、はやくおやじの後を追ったらよかろう……」