轻松读懂日语经典作品
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
「畑中君、ちょっと」
畑中と呼ばれた私服は、はっというと、二人のそばへ飛んできた。
「打合せをしておきたいことがあるんだ……湖水のそばで一服しようや」
林の中にうねうねとつづく、茶庭の露地のような細い道をしばらく行くと、だしぬけに林が終り、眼の前に湖の全景がひらけた。
朽ちかけた貸バンガローが落々と立っているほか、人影らしいものもなかった対岸の草地に、大白鳥の大群でも舞いおりたようにいちめんに三角テントが張られ、ボーイ・スカウトの制服を着たのや、ショート・パンツひとつになった少年が元気な声で笑ったり叫んだりしながら、船着場に沿った細長い渚を走りまわっていた。
葉桜になった桜並木のバス道路に、大型の貸切バスが十台ばかりパークしていて、車をまわす空地もないのに、朱と水色で塗りわけた観光バスがジュラルミンの車体を光らせながら、とめどもなくつぎつぎに走りこんでくる。観光バスのラジオの軽音楽と、ひっきりなしに呼びかけているキャンプの拡声器のアナウンスが重なりあい、なんともつかぬ騒音になってごったかえしていた。
捜査一課の主任は煙草に火をつけると、陽の光にきらめく湖水を眼を細めてながめていたが、舌打ちすると、