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じゆうとしんぽ
自由と進歩
中谷 宇吉郎
「心」平凡社、1957(昭和32)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,610 字 · 19 页
生産と道徳との関係は、別の機会に譲るとして、結論だけいえば、国家全体の生産を上げるのに、一番大切なものは、社会道徳であると、この頃考えるようになった。そしてその裏付としては、リバティを守るためのマイナスのリバティ、すなわち規則をつくり、それを守ることが、第一に着手すべきことと思われる。
個人の自由を制限しても、国家の建設ができれば、そこに進歩があるという考え方は、一面においては正しい。しかし進歩が、建設とか生産とかを、主として意味するとしたら、そこまで行く前に、打つべき手はある。それは国家の秩序を立てることによって、内攻或いは空転している国民のエネルギーに、目標を与えることである。
秩序を立てるには、或る程度の制限は必要であるが、この制限は、他人の自由を侵害する「自由」を制限するのであって、リバティを制限するのではない。こういうふうにして、国家の建設ができれば、自由と進歩とは、共存して伸びて行けることになる。
(昭和三十年一月)