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じゆうとしんぽ

自由と進歩

中谷 宇吉郎

「心」平凡社、1957(昭和32)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,610 字 · 19 页

青空文庫

三 二種類の自由

これでは都市計画などできるはずがなく、非生産的な人間を殖やすばかりである。命令一本で、二百万人くらいの東京の人間が、北海道の奥地へ移って行ってくれれば、問題は一遍に片づくが、日本ではできない。それが中共ではできるのである。

三 二種類の自由

国家の建設のためには、個人の自由を制限するという問題は、何もソ連や中共に始まった話ではない。昔の専制君主時代は、皆そうであり、ナチのドイツや東条軍閥時代の日本もそうであった。ただ、ソ連や中共の場合は、目的が違っているので、「国民大衆の利益のため」に制限するのであるというのが、最近の自由論争の一つの骨子となっている。

日本のように、各人が自由々々と言っていては、自分には都合がよいかもしれないが、そのために国の貧困をきたし、「失業の自由」や「疾病の自由」も出てくる。自由を束縛することによって、より大きい自由を獲得することを考うべきである。自由よりも大切なものは進歩である。

こういう一方の議論に対しては、自由は目的であって、手段では無いという信条の人もかなりある。事実、昨年の日本のジャーナリズムを賑わした自由論争は、その後もずっとあとを引いているのであるが、この両方の考え方の交錯であったと見なされるであろう。