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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

それをむいて食べながら会社のこと、はる子の慰問金のこと、エスペラント講習会のことなど三人は話した。

「――内務省なんかでも、この頃は実は実にうまくクビにしますよ。もとみたいに一どきにドッとは決してやらないんです。いつの間にかいない。おやと気がついたときはもう夙に引導をわたされている。――手が出ないですね」

「ああね、ミサ子さん、あなたこの頃やっぱりちょいちょい左翼劇場見に行くこと?」

柳がスカートの膝をくずして坐り、蕎麦ボールをつまみながらきいた。

「大抵行くわ」

「私ね、昨夕行って来たんだけれどね……あなたどう思う? 私せっかく観るのにてんでんばらばら一人一人見てそれっきりにしておくの惜しいと思うんです。きっと会社にも芝居ずきはいるんだから、誘いあって観て、あと座談会でもしたら、さぞ愉快だと思うんだけれど……」

「――ほんとに!……」

ミサ子は、微かに顔を赧らめながら、

「私、生意気みたいだけど、実はそんなようなことも考えてはいたのよ、こないだっから。……私達、全く会社の中では切り離されていて仕様がないから、せめてそんなことででも集まれたらどんなにいいでしょう」