轻松读懂日语经典作品
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ぶま
舞馬
牧 逸馬
「新青年」1927(昭和2)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,843 字 · 16 页
親方のおかみと何かあっても、恐らくは平気でこうであろう茂助は、何もなくても平気でそうだった。ただ変化と言えば、にきびが熟して黒くなったり、穴があいたりしただけだった。
2
で、きょうというこの日である。
茂助が風呂から帰ってきたとき、茶の間は真くらだった。いつものとおり縁側から上って、濡れ手試いを釘へかけて、茂助は茶の間へ這入って行って電燈を捻った。すると、茂助があっけにとられたことには、例の長火鉢のむこうにお八重が横すわりに崩れて、暗いなかにひとりで酒を呑んでいる。
「あ! びっくりした。何だ、おかみさんだね。どうしたんだね、灯りもつけずに」
「誰だ、もすさんかい。もすさんだね。暗くってねえ、済みませんでしたよ」
「ああれ、また酒だ」
「またってのは何だよ、または余計じゃないか。何年何月何日にあたしがそんなにお酒を呑みました?――まあさ、お据りよ、もすさん」
「え。ちょっと――親方は?」
「そこにいるじゃあないか」
「そこに? 何処に?」
「そこにさ。ははは、見廻してらあ。正直だね、お前さん」
「親方さ。どこにいるんだね」
「だからそこにいるって言ってるじゃないか。