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ふねでついたまち

船でついた町

小川 未明

「国民新聞」1930(昭和5)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,924 字 · 6 页

青空文庫

「それは、困るだろう。」といって、めぐんでやりました。あわれな男は、喜んで帰ってゆきました。

すると、翌日は、別の不具者がやってきました。

「私は、片腕をなくなしました。働くにも働きようがありません。どうぞ、おめぐみください。」と、訴えました。

金持ちは、なるほど、それにちがいないと考えましたから、いくらかめぐんでやりました。

一日に、二人や、三人は、金持ちにとって、なんでもなかったけれど、いつしか、このうわさがひろまるにつれて、十人、二十人と、毎日金持ちの門の前には、もらいのものが黒い山を築きました。

不具者ばかりでない、なかには、働けそうな若者もありました。そういうものには、金持ちが、きびしくただしますと、内臓に病気があったり、また探しても仕事がなかったり、聞けば、いろいろ同情すべき境遇でありまして、一人に与えて、一人に断るということができなかったので、しかたなく金持ちは、みんなに金を分けてやりました。

しかし、限りなく、毎日毎日、あわれな人たちがもらいにくるので、金持ちは、まったくやりきれなくなってしまいました。

「これは、どうしたらいいだろう、俺の力で、困ったものをみんな養ってゆくということはできない。