轻松读懂日语经典作品
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はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
「風雪」1948(昭和23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,409 字 · 20 页
古賀さんは、天ぷらの一切れを口に入れた。鯖の切身をちょっとごまかして、下等なピーナツオイルで揚げたものだ。なにしろ素人料理なのだ。それから古賀さんは酒を飲んだ。短髪の大きな顔をにこにこさしている。
「千代ちゃん、叔母さんと叔父さんと、どっちが好きかね。」
叔母さん叔父さんは、赤木夫婦のことだ。――千代は、すました顔で、返事をしない。
「それでは、叔母さんと仲本さんと、どっちが好きかね。」
千代はすました顔で、返事をしない。
「あんまりいじめちゃ、可哀そうだ。」
おれは思わず言ってしまった。
古賀さんは、きっとおれの方を見たが、すぐに笑った。
「そうだ。判断力がないからね。然し、このぶんならなおるよ。病院でゆっくり治療さしてやりましょう。」
誰も黙っていた。時たって頓狂に、赤木が言った。
「そうして頂きましょうか。ねえ仲本、それがいいね。」
「いいかも知れませんね。」とおれは機械的に答えた。
それよりも、おれは、先程からの嘉代さんの様子に気を惹かれていた。――嘉代さんはじっと伏目がちに、横額をぴりぴりさしていた。実際に動いてるわけではないが、その緊張が見えるようなんだ。