轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなよい

花宵

山本 周五郎

「少女の友」1942(昭和17)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,938 字 · 18 页

青空文庫

「そうだ、本当にそうかもしれない」

彼はよくそうつぶやいた、そしてだんだんと口数がすくなくなり、自分の部屋にとじこもってひっそりと本を読んでいることなどが多くなった。そういうときに読むのはきまって曽我物語であった、ことに「小袖乞い」のくだりはいくど繰返して読んでも飽きなかった。

小袖乞いのくだりは、十郎祐成と五郎時致の兄弟がいよいよ父の敵を討ちにゆくとき、それとは云わずに母へいとまごいをする、兄の十郎は母に可愛がられているので、餞別にといって母から小袖を貰う、それで五郎がわたくしにもとお願いをするが、五郎はまえに母の心にさからって勘当されていたため、いくらお願いしても小袖が貰えないのである。しまいには兄のとりなしでようやく勘当をゆるされ小袖も貰えるのであるが、母につれなく叱られて五郎の身も世もなく泣くところが英三郎にはいかにも悲しく、読むたびに涙が出てしかたがないのだった。

その夜もおなじことを考えつづけたあと、英三郎はまた曽我物語をとりだし、有明行燈の灯をほそくして読みながら寝た。……そんなことは曽てないのに、小袖乞いのくだりでまた泣かされたあと、泣きながらとろとろと眠ってしまったらしい。