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わかきせだいへのれんあいろん

若き世代への恋愛論

宮本 百合子

「昼夜随筆」白揚社、1937(昭和12)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,340 字 · 28 页

青空文庫

男も女も家庭をもったらもう駄目ですね、とよくいわれる言葉ほど昔風で、悲しく屈伏的なものはないと思う。私たちは人間性を埋められる場所として家庭をあらしめることは許さない。この社会で、家庭というものが、そういう青春や恋愛の埋めどころでないものとなるために、人間らしい、共同的な小社会としての家庭を来らしめるために、私たちは自分の家庭生活そのものをもって闘って行かなければならないのだと思う。

ある人が、こういうことを話した。日本では恋愛論とさえいえばよく売れる。婦人雑誌を売るには恋愛論なしでは駄目だ。ところが、イギリスでは、恋愛論では売れず結婚論ならば売れるそうだ、と。

私は、深い印象をこの言葉からうけた。イギリスは、フランスなどと違って、結婚は男と女との相互的な選択、友情、恋愛の過程を経て結婚に到る習慣をもってきている。彼らのところで結婚というものは愛し合っている一組の男女が、さらに深く結ばれ、豊かに溶け合い、いわば恋愛をその生涯で完成させる道として考えられている。浅く軽い恋愛、または情痴的な破局的な恋愛、あるいは恋愛期だけで消滅して永年の結婚生活にたえぬ要素の上に立つ恋愛は、研究するまでもなく数も多いであろう。