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わかきせだいへのれんあいろん
若き世代への恋愛論
宮本 百合子
「昼夜随筆」白揚社、1937(昭和12)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,340 字 · 28 页
昨年の後半期から、非常に恋愛論がとりあげられ、いろいろの雑誌・新聞の紙面がにぎわった。一方に社会の有様を考えて見ると、二・二六事件の後、尨大な増税案がきめられて、実際に市民生活は秋ごろからその影響をうけはじめている。煙草・砂糖・織物すべてが高価になり、若いサラリーマンの日常は些細なところまで逼迫してきている。軍需インフレーションは一部をうるおしているであろうが、その恩沢にあずからぬ者の方が多いことは明らかである。この数年来、若い男女の経済生活は、中流層の崩壊につれて困難の度を加えてきている。結婚難も増し、従って、若い人々の間の恋愛の感情も複雑な影響をうけている。その困難を打ちひらいて、若い時代にふさわしい希望と生活にうち向う気力を鼓舞しようとする意気組から、これらのおびただしい恋愛論は簇出したのであったろうか。
前後して、日本のインテリゲンツィアの間には青年論がとりあげられていた。青年が、現代の日本における社会情勢の中では、数年前マルクス主義が自由に検討された時代のような若い時代の歴史性の自覚、確信、それを可能ならしめる客観的事情もかけているし、さりとて、若い精神と肉体とをある一部の特殊世界の人々の人生観でしばりつけられ、一面茶色の叢のような存在におかれ切ることにも満足できず、その中間の苦痛深い現代青年