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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

余は草を茵に太平の尻をそろりと卸した。ここならば、五六日こうしたなり動かないでも、誰も苦情を持ち出す気遣はない。自然のありがたいところはここにある。いざとなると容赦も未練もない代りには、人に因って取り扱をかえるような軽薄な態度はすこしも見せない。岩崎や三井を眼中に置かぬものは、いくらでもいる。冷然として古今帝王の権威を風馬牛し得るものは自然のみであろう。自然の徳は高く塵界を超越して、対絶の平等観を無辺際に樹立している。天下の羣小を麾いで、いたずらにタイモンの憤りを招くよりは、蘭を九に滋き、を百畦に樹えて、独りその裏に起臥する方が遥かに得策である。余は公平と云い無私と云う。さほど大事なものならば、日に千人の小賊を戮して、満圃の草花を彼らの屍に培養うがよかろう。

何だか考が理に落ちていっこうつまらなくなった。こんな中学程度の観想を練りにわざわざ、鏡が池まで来はせぬ。袂から煙草を出して、寸燐をシュッと擦る。手応はあったが火は見えない。敷島のさきに付けて吸ってみると、鼻から煙が出た。なるほど、吸ったんだなとようやく気がついた。寸燐は短かい草のなかで、しばらく雨竜のような細い煙りを吐いて、すぐ寂滅した。