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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

十二

漁火は明滅す。

「あの松の影を御覧」

「奇麗ですな」

「ただ奇麗かな」

「ええ」

「奇麗な上に、風が吹いても苦にしない」

茶碗に余った渋茶を飲み干して、糸底を上に、茶托へ伏せて、立ち上る。

「門まで送ってあげよう。りょううねええん。御客が御帰だぞよ」

送られて、庫裏を出ると、鳩がくううくううと鳴く。

「鳩ほど可愛いものはない、わしが、手をたたくと、みな飛んでくる。呼んで見よか」

月はいよいよ明るい。しんしんとして、木蓮は幾朶の雲華を空裏にげている。寥たる春夜の真中に、和尚ははたと掌を拍つ。声は風中に死して一羽の鳩も下りぬ。

「下りんかいな。下りそうなものじゃが」

了念は余の顔を見て、ちょっと笑った。和尚は鳩の眼が夜でも見えると思うているらしい。気楽なものだ。

山門の所で、余は二人に別れる。見返えると、大きな丸い影と、小さな丸い影が、石甃の上に落ちて、前後して庫裏の方に消えて行く。

十二

基督は最高度に芸術家の態度を具足したるものなりとは、オスカー・ワイルドの説と記憶している。基督は知らず。観海寺の和尚のごときは、まさしくこの資格を有していると思う。趣味があると云う意味ではない。