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くさまくら
草枕
一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页
違うはずである。彼は英人でありながら、かつて英国の景色をかいた事がない。彼の画題は彼の郷土にはない。彼の本国に比すると、空気の透明の度の非常に勝っている、埃及または波斯辺の光景のみを択んでいる。したがって彼のかいた画を、始めて見ると誰も驚ろく。英人にもこんな明かな色を出すものがあるかと疑うくらい判然出来上っている。
個人の嗜好はどうする事も出来ん。しかし日本の山水を描くのが主意であるならば、吾々もまた日本固有の空気と色を出さなければならん。いくら仏蘭西の絵がうまいと云って、その色をそのままに写して、これが日本の景色だとは云われない。やはり面のあたり自然に接して、朝な夕なに雲容煙態を研究したあげく、あの色こそと思ったとき、すぐ三脚几を担いで飛び出さなければならん。色は刹那に移る。一たび機を失すれば、同じ色は容易に眼には落ちぬ。余が今見上げた山の端には、滅多にこの辺で見る事の出来ないほどな好い色が充ちている。せっかく来て、あれを逃すのは惜しいものだ。ちょっと写してきよう。
襖をあけて、椽側へ出ると、向う二階の障子に身を倚たして、那美さんが立っている。