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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

湯治場へ御越しなされば、きっと出て御挨拶をなされましょう」

「はあ、今では里にいるのかい。やはり裾模様の振袖を着て、高島田に結っていればいいが」

「たのんで御覧なされ。着て見せましょ」

余はまさかと思ったが、婆さんの様子は存外真面目である。非人情の旅にはこんなのが出なくては面白くない。婆さんが云う。

「嬢様と長良の乙女とはよく似ております」

「顔がかい」

「いいえ。身の成り行きがで御座んす」

「へえ、その長良の乙女と云うのは何者かい」

「昔しこの村に長良の乙女と云う、美くしい長者の娘が御座りましたそうな」

「へえ」

「ところがその娘に二人の男が一度に懸想して、あなた」

「なるほど」

「ささだ男に靡こうか、ささべ男に靡こうかと、娘はあけくれ思い煩ったが、どちらへも靡きかねて、とうとう

あきづけばをばなが上に置く露の、けぬべくもわは、おもほゆるかも

と云う歌を咏んで、淵川へ身を投げて果てました」

余はこんな山里へ来て、こんな婆さんから、こんな古雅な言葉で、こんな古雅な話をきこうとは思いがけなかった。

「これから五丁東へ下ると、道端に五輪塔が御座んす。ついでに長良の乙女の墓を見て御行きなされ」