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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

とかいたものがある。鉛筆だから、書体はしかと解らんが、女にしては硬過ぎる、男にしては柔か過ぎる。おやとまた吃驚する。次を見ると「花の影、女の影の朧かな」の下に「花の影女の影を重ねけり」とつけてある。「正一位女に化けて朧月」の下には「御曹子女に化けて朧月」とある。真似をしたつもりか、添削した気か、風流の交わりか、馬鹿か、馬鹿にしたのか、余は思わず首を傾けた。

後ほどと云ったから、今に飯の時にでも出て来るかも知れない。出て来たら様子が少しは解るだろう。ときに何時だなと時計を見ると、もう十一時過ぎである。よく寝たものだ。これでは午飯だけで間に合せる方が胃のためによかろう。

右側の障子をあけて、昨夜の名残はどの辺かなと眺める。海棠と鑑定したのははたして、海棠であるが、思ったよりも庭は狭い。五六枚の飛石を一面の青苔が埋めて、素足で踏みつけたら、さも心持ちがよさそうだ。左は山つづきの崖に赤松が斜めに岩の間から庭の上へさし出している。海棠の後ろにはちょっとした茂みがあって、奥は大竹藪が十丈の翠りを春の日に曝している。右手は屋の棟で遮ぎられて、見えぬけれども、地勢から察すると、だらだら下りに風呂場の方へ落ちているに相違ない。