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あらほうし
荒法師
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,734 字 · 36 页
なにか脳裡に打開されようとしている、ながいあいだ追求してきた生死の大事が、衣をはらってその神髄を見せているのだ、かれは瞑目し、一念を凝集させた、……ここにあったのだ、「生きては命のあるかぎり、死ねば悪鬼羅刹となって、七たびも十たびも人間に生れ更って、あくまで父祖の国土と御しゅくんを守護し奉る」という、「断じて成仏せず」という、微塵の惑いもなく唯ひとすじに貫きとおした烈々火の如き信念、生を生とせず死を死とせず、現世も未来もあげて「守護し奉る」という信念ひとつに生きる、これこそ生死超脱の境地ではないか、これこそ唯一不滅の道ではないか、……そうだ、これだ、ここにあった。俊恵はかっと眼をみひらいた、五山の学堂にまなんでも得られなかった、大蔵経典も教えては呉れなかった、結跏参禅の修業も打開し能わざるものが今こそかれの眼前にあらわれた、さんらんたる光輝を放って今こそかれの面前にあらわれたのだ。
「生あるものは必ず滅す、善い哉」俊恵は片手をつきだして云った、「……生きることが目的ではない、死ぬことが終りではない、生死を超えて生きとおす