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あらほうし
荒法師
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,734 字 · 36 页
それは天蓋をびりびり震わせるほどの声だった、「……身につけている蛮衣はなんだ、螺髪とはなんだ、眉間の白毫とはそもそもなんだ、汝はいずれの辺土から来た頓愚だ、云え、仏とはそもなに者か」「俊恵……」はいって来た慧仙和尚がうしろから叫んだ、「そのほうなにをしておる、気でも狂ったか」「…………」俊恵はくっとふり向いた、火を発するかと思える双眼で慧仙をはたと視、膏汗のにじみ出た額を高くあげてかれは叫んだ、「いかにも、俊恵は気が狂ったかも知れません、しかし師の御坊におたずね申す、この釈迦如来は何処のなに者ですか、毛髪の玉と縮れた、身に蛮衣をまとった、この偶像はそもなに者ですか」「さような愚問に答える言葉はない」「ではわたくしから申しましょう、これは」と俊恵は手をあげてひしと本尊を指さした、「これは天竺の迦毘羅衛城主の子で悉達多といい、のちに釈迦牟尼と呼ばれた人間の摸像でございましょう、だがその天竺の一城主の子が、われらにとってなんだというのです、わたくしは幼少の頃からこの像の前に拝跪し、朝な夕な看経供養をしてきました、ひと口に申せばこの釈迦牟尼仏に仕えてきた