轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

そうし

荘子

岡本 かの子

「三田文学」1935(昭和10)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,362 字 · 25 页

青空文庫

鯉たちは人の影を見て急いで彼方の水底へ逃げた。水が彼女の裳に跳ねた。しばらく顔を真赫にして居た麗姫がやがて

「なんという失礼な魚達だろう。わたしは今まで誰にもこんな素気ないそぶりをされたことがない。いくら無智な魚でもあんまりひどい」

と子供のようにやんちゃに怒り出したという噂を話し終って遜は前にも増して転げるように笑った。

「どうです。魚にまで恨みごとを云う女です」

といってまた笑った。荘子もつき合いに笑って見せたが彼の憂鬱な顔には一種の興奮を抑えた跡が見えた。

支離遜は襟をかき合せて立上った。

「お訣れいたします。今度は忙しくてお宅でゆるゆるさせても頂けません。この次にはぜひお訪ねいたします。それまでに一つあなたもあっと云わせるような学説を立てて世間を驚かせて欲しいですな」

支離遜の乗った旅車の轍のひびきが土坡の彼方に遠く消えて行った。

日はいつの間にか暮れた。櫟社の大木は眠って行く空に怪奇な姿を黒々と刻み出した。この木を塒にしている鳥が何百羽とも知れずその周囲に騒いで居た。鳴声が遠い汐鳴りのように聴えた。田野には低く夕靄が匍って離れ離れの森を浮島のように漂わした。