轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

「週刊朝日春季増刊」朝日新聞社、1950(昭和25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,178 字 · 72 页

青空文庫

貞良は眉をひそめた。どこか痛みでもするように、……それから、分封のことは異議はないけれども、男でいるかどうかは早急にきめる必要はあるまい、なおよく考えてみるようにと云って、父は帰っていった。

幕府のほうにはどういう形式をとったかはわからないが、四月から巻野家の世子は亀千代に定り、中屋敷でかなり盛大な披露の宴があった。……菊千代はそのとき初めて弟を見た。まだ百日に足らない赤児で、髪毛の濃いのと、よく肥えていたということくらいしか覚えがない。それが弟を見た初めであり、そして終りであった。

それから菊千代は再び以前の生活に戻った。学問もし、弓や薙刀の稽古もし、馬にも乗った。半三郎がいなくなったほか、まわりはみな元の者たちばかりで、菊千代の秘密については誰も知らないらしかったが、半三郎がせいばいされたということで、一種の警戒と隔てができ、まえのようにうちとけた感じはなくなってしまった。

――かれらは怖れているのだ、それだけなのだ、気にする必要はない。

こう思ったけれども、隔てのできたかれらのようすが、ときに激しく癇に障り、ついするとどなりつけ、罵り、またしばしば鞭をあげるようなことさえあった。