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らくご・きょうそれつでん

落語・教祖列伝

坂口 安吾

04 飛燕流開祖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,245 字 · 25 页

青空文庫

つまり術と錬磨によって電波探知機を身にそなえているのである。敵はそうとは知らないからもう一息で芋刺しに、と夢中で追う。一人にだけ追わせると他の者が退屈して諦めるかも知れないから、ヒョイと身をかわして横へとび斜にずれては他の者の切先五六寸のところへ背中をおいてやる。もう一息で届きそうだから息がきれて目がくらんで何も見えなくなるまで我を忘れて追うのである。十分もたたないうちに十名の者が完全にへばって、あっちに一人、向うにも一人というように、まるで天からまいたように、八方にのびていたのである。

「ナ。極意というものは、斬る突くだけのものじゃアねえや。術により、錬磨によって、全身に感じる作用がそなわるな。凡人は触れないと分らない。だが、見どころのある者は生れながらにして、三尺から一間の近さまでは物の迫る気配を感じるものだ。これを錬磨によって三間ぐらいまで延すことができるが、オレのは、又、別だな。七間、十間、十五間と感じることができらア。だが十五間も離れたものを感じるのじゃアねえや。迫る物の速力に応じて身をかわす速力の早さが、十五間も距離のある敵の姿を感じることに当るという理窟だな。