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はとみき

葉と幹

小川 未明

「読売新聞」1920(大正9)年5月7~8日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,622 字 · 4 页

青空文庫

二

」と、幹は、葉に向かっていいました。

すると、木にしげっている葉はいいました。

「それは、一刻だって、あなたのご恩を忘れはいたしません。けれど私たちだって、ただ踊ったり、笑ったり、跳ねたりしているのではありません。いくらずつか、あなたのおためにもなっているのでございます。もし私たちがなかったら、やはりあなただって、そうしていつまでも達者に生きてはいられないのでございます。」

「そんなら、おまえたちは俺を守っているというのか。」と、幹は叫びました。

「さようでございます。」

「ばかばかしい。早く死んで失せろ。いくらでもおまえがたの代わりは生まれてくるわ。」と、幹は体を震わして怒ったのであります。

二

ある日、くわをかついだ男と、もう一人の男とが、がけの上に立ちました。二人は、上を仰いで、かえでの木をながめていました。

「ここからは、とうてい上がれない。あちらからまわってゆかなければだめだ。」

と、二人はいっていました。

これを聞いた葉はびっくりしました。

「あんまり私たちが美しいもので、とんだことになってしまいました。」

と、葉は幹にいいました。

「うぬぼれてはいけない。