轻松读懂日语经典作品
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あしかり
蘆刈
谷崎 潤一郎
「改造」改造社、1932(昭和7)年11月号、12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,413 字 · 78 页
御亭主とのあいだに男の子が一人ありましたそうにござりますからなかなか再縁というようなことは許されなんだものとみえます。それにお遊さんは望まれて行ったくらいでござりますから姑にも御亭主にもたいへん大事にされまして実家にいましたときよりもずっと我がままにのんびりとくらしておりましたので後家になりましてからもときおり大勢の女中をつれて物見遊山に出かけていくという風でそういう贅沢は自由に出来たのだそうにござりますからはたから見ればまことに気楽な境涯なのでござりまして、当人もその日その日の花やかな生活に紛れてかくべつ不平も感じなかったのでござりましょう。わたくしの父がはじめてお遊さんを見ましたときはお遊さんという人はそういう身の上の後家さんだったのでござります。そのとき父が二十八歳でわたくしなどの生れます前、独身時代でござりましてお遊さんが二十三だったと申します。なんでも夏の初めのことで父は妹の夫婦、わたくしの叔父叔母にあたります人と道頓堀の芝居に行っておりましたらお遊さんがちょうど父のまうしろの桟敷に来ておりました。お遊さんは十六、七ぐらいのお嬢さんと二人づれで外に乳母か女中頭といったような老女が一人と若い