轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とらがり

虎狩

中島 敦

「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,260 字 · 48 页

青空文庫

二

が、虎共は一時間ほど巡査の胆を冷させたのち、やっと諦めて何処かへ行って了った、というのである。此の話を京城日報で読んだ時、私はおかしくておかしくて仕方がなかった。ふだん、あんなに威張っている巡査が――その頃の朝鮮は、まだ巡査の威張れる時代だった。――どんなに其の時はうろたえて、椅子や卓子や、その他のありったけのがらくたを大掃除の時のように扉の前に積み上げたかを考えると、少年の私はどうしても笑わずにはいられなかった。それに、そのやって来た二匹連れの虎というのが――後肢で立上ってガリガリやって巡査をおどしつけた其の二匹の虎が、どうしても私には本物の虎のような気がしなくて、脅された当の巡査自身のように、サアベルを提げ長靴でもはき、ぴんと張った八字髭でも撫上げながら、「オイ、コラ」とか何とか言いそうな、稚気満々たるお伽話の国の虎のように思えてならなかったのだ。

二

さて、虎狩の話の前に、一人の友達のことを話して置かねばならぬ。その友達の名は趙大煥といった。名前で分るとおり、彼は半島人だった。彼の母親は内地人だと皆が云っていた。私はそれを彼の口から親しく聞いたような気もするが、或いは私自身が自分で勝手にそう考えて、きめこんでいただけかも知れぬ。