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とらがり
虎狩
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,260 字 · 48 页
六
あの露営の晩の出来事が直接の動機となったのだろうか。あのことだけで、学校を廃めるほどの理由になろうとも思えなかったが、やはり幾分は関係があるような気もした。そう考えると、いよいよ、例の、彼の言った「強い、弱い」云々の言葉が意味のあるものに思われてくるのだった。
やがて、彼に関する色々な噂が伝わって来た。彼がある種の運動の一味に加わって活躍しているという噂を一しきり私は聞いた。次には、彼が上海に行って身を持崩しているというような話も――これはやや後になってではあるが――聞いた。その何れもがあり得ることに思えたし、又同時に、両方とも根の無いことのように考えられもした。斯うして、中学を終えると直ぐに東京へ出て了った私は、其の後、杳として彼の消息を聞かないのだ。
六
虎狩の話をするなどと称しながら、どうやら少し先走りしすぎたようだ。さて、ここらで、愈々本題に戻らねばならぬ。で、この虎狩の話というのは、前にも述べたように、趙が行方をくらます二年程前の正月、つまり私と趙とが、例の、目の切れの長く美しい小学校の時の副級長を忘れるともなく次第に忘れて行こうとしていた頃のことだ。