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とらがり
虎狩
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,260 字 · 48 页
三
が、その心遣いは無用であったように見えた。というのは、趙の方は自分で一向それを気にしていないらしかったからだ。現に自ら進んで私にその名を名乗った所から見ても、彼がそれを気に掛けていないことは解ると私は考えた。併し実際は、これは、私の思い違いであったことが解った。趙は実は此の点を――自分が半島人であるということよりも、自分の友人達がそのことを何時も意識して、恩恵的に自分と遊んでくれているのだ、ということを非常に気にしていたのだ。時には、彼にそういう意識を持たせまいとする、教師や私達の心遣いまでが、彼を救いようもなく不機嫌にした。つまり彼は自ら其の事にこだわっているからこそ、逆に態度の上では、少しもそれに拘泥していない様子を見せ、ことさらに自分の名を名乗ったりなどしたのだ。が、この事が私に解ったのは、もっとずっと後になってからのことだ。
とにかく、そうして私達の間は結ばれた。二人は同時に小学校を出、同時に京城の中学校に入学し、毎朝一緒に龍山から電車で通学することになった。
三
その頃――というのは小学校の終り頃から中学校の初めにかけてのことだが、彼が一人の少女を慕っていたのを私は知っている。