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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

「文学界」1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,586 字 · 108 页

青空文庫

トラホームだの頸腺腫だのX彎曲だの、というくだりは、あなたに、いい、といわれたばかりに、どこへでも持って歩いていたのです。『新ロマン派』で追記風にある同人雑誌(名だかくない)のある人をほめていたことばを見て、ねたましく思ったこともあります。何をかいたか、自信がありません。これだけでもうヘトヘトです。毎日毎日つかれている。何ごとをするのでもなく。

ほとんど休んでばかり居れば日曜もたのしくなく、夜ねても、一日がおわったといういこいではなくて、あしたがあるというつかれを覚えています。健康をねがって終日をくらす。今は、弱いというだけで病気はありません。老人のごとき皮膚をあわれみ、夜裸身に牛乳をあびる。青春を得るみちなきかと。非常に、失礼な手紙だと思います。文体もあやふやで申しわけありません。でもほっとしています。明日の朝になれば、だせなくなるといけませんから、すぐだします。おひまのときに、おたより、いただけたらと思います。おからだお大事にねがいます。斎藤武夫拝。太宰治様。」

「御手紙拝見。お金の件、お願いに背いて申し訳ないが、とても急には出来ない。実は昨年、県会議員選挙に立候補してお蔭で借金へ毎月可成とられるので閉口。