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へび

蛇

森 鴎外

「中央公論 第二十六年第一号」1911(明治44)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,073 字 · 23 页

青空文庫

どうも今の女学校を出た女は、皆無政府主義者や社会主義者を見たような思想を持っているようだと、そう云うのです。その時はわたくしもこの男は随分思い切った事を云うと思って聞いていましたが、好く考えて見ると、わたくしの妻などもオオソリチイは認めません。事によると、今の女はまるで動物のように、生存競争のためには、あらゆるものと戦うようになっているのではないでしょうか。一体どうしてこんな風になって来たのでしょう。」

「打遣って置けば、そうなるのです。赤ん坊は生れながらの goiste ですからね。」

「しかしどうして男とは違うのでしょう。」

「それはなんと云っても、男の方は理性が勝っているのでしょう。君はさっき人生観を持っていないと云われたが、持っていないと云っても、社会に立っての利害関係は知っている。利己主義ばかりで推して行けば、自分の立場がなくなるということは知っている。Dogma は承認しない。勿れ勿れの教には服せない。しかし利害の打算上から、むちゃな事はしない。女だって理性の勝っている女は同じ事でしょう。ただそんな女は少いのです。人間は利害関係だけでも本当に分かっていれば、むちゃな事は出来ない。