轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうにんぎょう

蝋人形

小川 未明

「新小説」1908(明治41)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,886 字 · 10 页

青空文庫

夏は東京は暑いだろうな、そんなに急いで行くにや及ばん、涼しくなってから帰えれ。」と、いつになくその日は上機嫌であった。

其様ことで清吉はついに何もせずにぶらりぶらりとその日を送って、もはやいつしか春も過ぎてしまった。母親は清吉にそう遊んでばかりいてはつまらないから、此方で人形を造ってはどうだかというと、土や、絵具や、型を取り寄せるのに面倒だから、今迄やって見たことはないが、家で蝋燭を造る蝋があるから、一つためしに蝋人形を造って見ようかと言い出した。

「蝋で人形が出来るなら、それでも造って銭にせよ。」と母親がいった。

その日から清吉は父親と仕事場に並んで蝋を煉っては人形の形を造って見るが、何うも自分がかつて東京にいて見たような西洋の蝋人形のようにはうまく行かなかった。毎日毎日根気よく同じようなことを繰返していたが、とうとう夏から秋にかけて――尤もその中の半分余は無駄に遊んだ――たった三つばかりしか出来上らなかった。

母親もどうせ今度は養生に来たのだから、銭取をせなくても小言はいわれぬと思ってか別段叱りもしなかった。然るに清吉は、いつも暮方になると涼みに海の方へと行った。