轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
帆村は下から、傲然と崖の上に腕をくんで立つ蠅男を睨みつけた。
「呀ッ、帆村はん。あいつは味噌樽を下ろしていまっせ」
「うん、蠅男はあの三輪車に乗って逃げるつもりなんだ。僕たちが崖へ匍いのぼるまでには、すくなくとも三、四十分は懸ることをチャンと勘定にいれているんだ。その上、うまく崖の上に匍いあがっても、僕たちに乗り物のないことを知っているんだ。まるで、ジゴマのように奸智にたけた奴……」
と、そこまで云った帆村は、急に言葉を切った。そして長吉の身体をドーンと突くなり、
「おう、危い。自動車のうしろに隠れろッ」
と早口で命令した。
その言葉が終るか終らないうちに、ブーンと風を切って落ちてきたのは三貫目の味噌樽だった。二人がもうすこし気がつかないで立っていたとしたら、彼等のどっちかがその恐ろしい勢いで落ちてきた味噌樽のために、頭蓋骨を粉砕されなければならなかったろう。
味噌樽は、なおも上からピューンと呻りを生じて落ちてきた。その勢いの猛烈なことといったら、地面に落ちて、地雷火のように泥をはねとばし、壊れ自動車に当っては、鉄板をひきちぎって宙に跳ねあげるという凄い勢いであった。