轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

そういって、大川司法主任は、新聞紙の上を大きな掌でもってピチャピチャと叩いた。

帆村は、それには相手になろうともせず、室の中を指して、

「どうです。糸子さんは無事ですかネ」と訊いた。

「もちろん大丈夫だすわ。しかし昨夜も、えろう貴方はんのことを心配してだしたぜ。村松はんのことがなかったら二人して貴方はんに奢って貰わんならんとこや。ハッハッハッ」

大川主任はいい機嫌で哄笑した。

室のなかに入ってみると、糸子はもうすっかり元気を回復していた。ただ、まだ麻酔薬が完全にぬけきらないと見えて、いく分睡そうな顔つきは残っていたが……。

「まあ帆村はん。さっきの夢のつづきやのうて、ほんとの帆村はんが来てくれはったんやなア」

糸子は、けさがた帆村の夢を見ていたらしく、帆村の顔を見て小さい吐息をついた。

糸子があつく礼をいうのを、帆村は気軽に聞きながして、

「さあ、ここでちょっと糸子さんに折入って話をしたいことがあるんです。皆さん、ちょっと遠慮して下さいませんか」

そういう帆村の申し出に、付き添いのお松をはじめ、看護婦や警官たちもゾロゾロと外へ出た。扉がピタリと閉って部屋には帆村と糸子の二人きりとなってしまった。