轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

と帆村がいうと、楢平は指をさして、

「新別府ちゅうのは、この奥にある砂風呂のことや。そのわりに流行ってえへんけれどなあ。よかったら行ってみなはれ。ええ女子がおって、あんじょう砂をかけてくれるがな」といった。

帆村は妙な気になった。

今夜からいよいよ死闘だと覚悟していたのに、それがこんな風に呑気に浴場に入って汗を流せるなんて、夢のような話ではないか。

しかし実をいえば、帆村もまた大阪人に負けぬくらい風呂好きであった。別府式の砂風呂と聞いては、もうじっとしていられなかった。楢平をプールに残しておいて、彼はその砂風呂のある別館の方へ手拭片手にノコノコと歩いていった。

なるほど別館建てのこの砂風呂は、思ったよりお粗末だが、ともかくも別府を模倣して、およそ二十畳敷くらいの一室全部を綺麗な砂で充たしてあった。そして、中には湯気がモヤモヤとたれこめていて、電灯がほの暗かった。

中はガランとしていた。

ただ一人、あまり上手ではない浪花節を、頭の天頂からでるような声でうたっている客があるきりだった。

「――※(歌記号、1-3-28)わざとよろめき立ち上り、心は後にうしろ髪、取って引かるる気はすれどオ。