轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
「いやこれでもまだ迚も君には敵わないと思っている。――年齢は不明だ」
「歯から区別がつかなかったんですか」
「自分の歯があれば分るんだが、総入歯なんだ。総入歯の人間だから老人と決めてもよさそうだが、この頃は三十ぐらいで総入歯の人間もあるからネ。現にアメリカでは二十歳になるかならずの映画女優で、歯列びをよく見せるため総入歯にしているのが沢山ある」
「その入歯を作った歯医者を調べてみれば、焼死者の身許が分るでしょうに」
「ところが生憎と、入歯は暖炉のなかで焼け壊れてバラバラになっているのだ」
「頭蓋骨の縫合とか、肋軟骨化骨の有無とか、焼け残りの皮膚の皺などから、年齢が推定できませんか」
「左様、頭蓋骨も肋骨も焼けすぎている上に、硬いものに当ってバラバラに砕けているので、全体についてハッキリ見わけがつかないが、まあ三十歳から五十歳の間の人間であることだけは分る」
「まあ、それだけでも、何かの材料になりますね。――外に、何か屍体に特徴はないのですか」
「それはやっと一つ見つかった」
「ほう、それはどんなものですか」
「それは半焼けになった右足なんだ。その右足は骨の上に、僅かに肉の焼けこげがついているだけで、まるで骨つきの痩せた、鶏の股を炮り焼きにしたようなものだが、それに二つの特徴がついている」