轻松读懂日语经典作品
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
彼は久し振りに新温泉のなかに入ってみる楽しさを想像しながら、橋の欄干から身を起して、またブラブラ歩いていった。
とうとう彼は、入場券を買って入った。もちろん昔パスを持って通った頃の年老いた番人はいなくて、顔も見知らぬ若い車掌のような感じのする番人が切符をうけとった。
中へ入った帆村は、だいぶん様子の違った廊下や部屋割にまごつきながらも、やっと覚えのある大広間に出ることができた。朝まだ早かったせいか、入場者は多くない。
帆村は遊戯室の方に上る階段の入口を探しあてた。彼はすこし胸をワクワクさせながらその狭い階段を登っていった。
おお有った有った。思いの外なんだか狭くなったような感じであるが、見廻したところ、彼の記憶に残っている世界遊覧実体鏡、一銭活動、魔法の鏡、三世界不思議鏡、電気屋敷など、すべてそのままであった。
「うむ、アルプスの小屋に住んでいる貧乏サンタクロス爺さんの一家は機嫌がいいかしら」
と、帆村は数多い懐しい実体鏡のなかを、あれやこれやと探して歩いた。貧乏サンタクロスの一家というのは、アルプス小屋に住んでいる山籠りの一家のことで、小さな小屋の中にサンタクロスに似た髯を持った老人を囲んで、男女、八人の家族が思い思いに針仕事をしたり薪を割ったり、鏡の手入れをしたり、子供は木馬に乗って遊んでいるという一家