轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえ

蠅

海野 十三

「ぷろふいる」1934(昭和9)年2月号~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,774 字 · 40 页

青空文庫

彼は満足そうに独言を云って、白い壁にめぐらされた洋風間に持ちこんだベッドの上に長々と伸びた。真白な天井だった。新しいというのは、まことに気持がいいものだ。蠅が一匹止まっている。それさえ何となく、ホーム・スウィート・ホームで、明朗さを与えるもののように思われた。蠅のやつも、恐らく伸び伸びと、この麗かな部屋に逆様になって睡っていることであろう。

彼はうららかな生活をしみじみと味わって、幸福感に浸った。いままでの変態的な気持がだんだん取れてくるように感じた。もうあの夜の映画観賞会には、なるべく出ないようにしようとさえ考えた。明るい生活がだんだんと、彼の心を正しい道にひき戻していったのだった。

しかしそれと共に、彼はなんだか非常に頼りなさを感じていった。淋しさというものかも知れなかった。血の通っている身体でありながら、まるで鉱石で作った身体をもっているような気がして来た。なにが物足りないのだ。なにが淋しいのだ。

「そうだ、妻君を貰おう!」

彼は、このスウィート・ホームに欠けている第一番のものに、よくも今まで気がつかなかったものだと感心したくらいだった。

目賀野千吉は、彼の決心を早速会主に伝達した。