轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

「冨士」講談社 1939(昭和14)年9月~12月中絶、「血煙天明陣」桃源社 1970(昭和45)年に付載して完結公刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 页

青空文庫

その空地に、巨大な白蝶の死骸かのように、一張の紙帳が、ベッタリと地に、張り付いていたからである。

「紙帳だよ、……まあ紙帳!」

どうしてこんな林の中などに紙帳が落ちているのか、不思議でならなかったが、それと同時に、数日前、自分の屋敷へ泊まった五味左門と云う武士が、部屋へ紙帳を釣って寝、その中で、同宿の武士を殺傷したことを思い出した。

(その紙帳ではあるまいか?)

(まさか!)

と思い返したものの、気味が悪かったので、栞は立ち去ろうとした。しかし、紙帳とか蚊帳とかを見れば釣りたくなり、布団を見れば敷いてみたくなるのが女心で、栞も、その心に捉えられ、立ち去るどころか、怖々ではあったが、あべこべに紙帳へ近寄った。紙帳には、泥や藁屑が附いていた。そうして血痕らしいものが附いていた。

(気味が悪いわ)と栞は、またも逃げ腰になったが、でも、やっぱり逃げられなかった。

短く切られてはいたが、紙帳には、四筋の釣り手がついていた。

いつか栞は、その釣り手を、木立ちにむすびつけていた。

間もなく紙帳は、栞の手によって、空地へ釣られ、ところどころ裂け目を持ったその紙帳は、一杯に春陽を受け、少し弛るそうに、裾を地に敷き、宙に浮いた。