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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「ええ。ですけど、男なんです。お蝶ちゃん」
せつ子は半玉を自分の方に向けさせた。お蝶はうるんだ目でジッと見あげる。せつ子はカツラに手をかける。お蝶は真ッ赤になった。せつ子はスッポリ、カツラをぬいだ。少年であった。
「別室へ参りましょう」
せつ子は長平の手をとって立った。
十
そこは数寄屋造りの別棟であった。温泉風に浴室も附属している。居間に食卓の用意ができて、長平の好きなコニャックも、ほかの洋酒も、酔心も、とりそろえてあった。
「お風呂はいかが?」
「それには及びません」
「お寝床もしいてございますから、どうぞ、ごゆっくり」
せつ子は長平にコニャックをついで、
「先生。のみほして。私にちょうだい」
長平のグラスをうけとり、ついでもらって、一息にのむ。さしては、もらい、数回つづけて一息にのんだ。せつ子の目の縁はバラ色にそまった。
「悪趣味の女とお思いでしょう。因果物ばかりお見せして」
「いいえ。たいへん有りがたく思いましたよ。珍らしいものを見せてもらって。ところで、あなたは、どっちのあなた? 裸のお方かな? 暗闇で手を握ったお方?」
「どっちが、おすき?」