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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「そんなことが理由になるのは、ほかのことがあるせいね。正直に云えないことがあるからよ」
「なア。記代子さん。もっと打ちとけて、茶のみ話をしようよ」
「イヤ」
記代子は立ちあがった。
八
青木は記代子を送ってでた。
「なア。記代子さんや。こんなことで、怒ったり、怒られたり、よそうじゃないか。毎日、ノンビリ、コーヒーやビールや焼酎でものんで、バカ話をし合って、たのしく過そうじゃないか。そうするうちに、二人の心が通じ合うようになると思うんだがね」
肩を並べて歩きながら、青木は懇願した。つとめて情慾を殺すには、そんな態度をとる以外に仕方がないのだ。そのくせ、立ち去る記代子を立ち去るままに放っておくことができないのは、可憐な記代子に断ちがたいミレンのあるせいだ。
相剋する二つの心を、興ざめた目で見送る以外に手もない。
「なア。よく考えてくれよ。ぼくは叔父さんの友だちなんだぜ。叔父さんというものは、あんたのオヤジの兄弟じゃないか。オヤジだの、オヤジの兄弟なんてものは、あなたの友だちと違わアね。ぼくだって、そうなんだ。ぼくは、あなたにとって、甚だ親切な友だちさ。