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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「ちょッと、待って、チョーダイナア」
アンチャンは変テコな女の声色で、目の玉をギロリとむいて笑いながらひッこんだ。
入れ代って、無造作に現れたのは、色のまッしろな好男子である。ギリシャ型の鼻筋が通り、目は深く、すんでいる。水もしたたるような、西洋型の明るい美貌で、どこにも凄味というものがない。ただ肩幅ひろく、胸は厚く張り、腕は逞しく隆々としていた。年は二十四五であろう。
「ぼくが野中です。どうぞ、お楽に」
と、気楽に言ってイスにかけたが、その顔は明るい。青木のなぐられたのも好男子の愚連隊だというが、この男たは、そんなことをしそうな風が見うけられなかった。
「あなたは、どこの戦地へいらしたのですか」
エンゼルは、卓上のタバコをとって火をつけて、そんなことから話しはじめた。
「ぼくは病弱ですから、兵隊にとられなかったのです」
「ぼくは四国にいたのですが、隊長の命令で、花キチガイのオジイサンのところへ調査に行ったことがありました。このジイサンはお花畑の一部分をどうしても野菜畑にしないのです。二段歩ぐらいでしたが、当時二段の畑と言えば、財宝ですよ。土地で大問題となっていたんですが、ジイサン、頑固でどうしても承知しないんです。