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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「勝手におッしゃい。あなたは、もう、京都へお帰りなさるといいわ」
「左様。記代子のことで滞在がのびてしまったが、明日の特急にでも、帰りたいものですよ」
せつ子は笑った。
「あとは私が一存で致します」
「何をなさるつもりですね?」
「何ッて、相手はヨタモノですもの。記代子さんの身にシアワセのはずはありません」
「その考えは軽率すぎるようだ。世渡りと男女のことは別問題ですよ。体面のために古い恋女房を離婚して、新しい恋愛を実現した代議士もあるしね。女房を大事にするヨタモノがいてもフシギではない。男女のことは、誰にも分りゃしません。銘々に独特の型があるものです」
「いいえ、世間体を怖れないヨタモノは、女房への誠意もありません。世間体を怖れない男には、それに相応する女がいて、女房になるものです。記代子さんはそれに相応した女ではありません」
「なに、結構、間に合う場合が多いものさ」
せつ子はふきだしたが、こう結論した。
「記代子さんのことは、私が一切ひきうけます。あなたは京都へ、ひッこんでらッしゃい」
三
せつ子は街のヨタモノに善意があるとは思わなかった。虫けらのようなものである。