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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
心あたたかく、あくまでマジメな青年であった。珍らしい好青年と云えるであろう。
しかし彼の生き方の甘さにはついて行けない。それを許容することは、わが生き方の必死なものを、自らヤユするようなものだ。青木はてんから反撥せずにいられなかった。
記代子は青木に千円渡して、
「放二さんにお花あげて下さいね」
「ヤ。ありがとう。どんな花?」
「なんでもいいわ。花束なら」
記代子は長平のいないとき、青木にささやいた。
「私、ホッとしたわ」
「なにが、ですか」
「放二さんが死んだから。私のために死んでくれたような気がするのよ」
青木はちょッと呑みこめなくて、いぶかしげに彼女の顔色をさぐった。
「え? なんだって?」
「私はね。放二さんの生きているのが、何よりイヤだったの。願いごとをかなえてくれる魔物がいるなら、私の未来の時間を半分わけてやっても、放二さんを殺してもらいたかったわ」
「なぜさ」
「目の上のタンコブなの。なぜだか分らないけど、タンコブなのよ。まだ生きてる、まだ生きてるッて、いつも私を苦しめていたのよ」
「そうかい。それは、おめでとう」
そして、いよいよ別れるときに、青木は記代子にささやいた。