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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
皮肉なところはミジンもなかった。むしろ親愛の情とイタワリをこめて、礼子はこう言っているのだ。
してみると、梶せつ子と放二の特別な関係を知らないのかな、と長平は思った。少年期からただ一人のせつ子を思いつめて成人した孤児の放二。それを知ってる礼子なら、皮肉の色は隠せなかろう。
礼子の洞察によると、放二の立場も青木同様、スラリと小牛ほどもユッタリした女の愛犬というわけだ。どうやらこの観察は当っているな、と長平は思った。
九
「梶せつ子のことが御心配なら、それを北川君に問いただすのは筋違いですよ。センサクの鋭鋒はあげて夫君に向けらるべきものですよ。青木君も、あなたを忘れかねているのですよ。今もって最も尊敬していると云いましたね。亭主と女房の関係においてはメッタに使わぬ言葉ですが、十年もつれそって、別居して、いまだに最も等敬してるというんですから、おだやかならん表現ですね。なにをか云わんや」
礼子はそれに答えずに、考えこんだ。
顔をあげて、長平の目を見つめたが、
「私、どうすれば、よろしいのでしょう」
ジッと見つめて、視線は放れない。屁理窟ではごまかされませんと、礼子の気魄が語っている。